元カレ社長は元カノ秘書を一途に溺愛する
「私は飾りではありません。わが社で起きたことはすべては私の責任です。今回はすでに外部へも状況が知れている段階で、しかも製品の交換も始めているという状況だ。本来ならば一軒一軒私が足を運び製品を交換するくらいのことです。実際に使用された方もいるという報告だ。謝罪にも行くべきです。」
杏奈は話をする瑠衣を横から見つめる。

これが社長として社を背負っている瑠衣の使命でもあり、責任なのだと実感する。

「私たちが扱っているのは命を守るためのものや命を繋ぐためのもの。そして、命を支えるためのものでもある。ミスは許されない。でも、もしもミスが起きてしまったのだとしたら会社の代表である社長である私も、実際に先方へ出向いて謝罪をするくらいのことだと思います。今回のように勝手に動いてからでは遅い。」

杏奈も同じように感じてはいた。
社長に報告が上がるまでに状況確認は最低限必要である。
でも、社長に報告が上がる時点で機械の修理がすんでいたり、取引先にも状況がしれ製品の交換もすでに始まっているというのが、報告前に動くものではないような気がした。

そこを瑠衣が指摘しているのだ。
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