元カレ社長は元カノ秘書を一途に溺愛する
報告書をあげる手前、杏奈は一緒にはいけない。

社長室に一人残った杏奈は時々社長用の席を見ながら、ひとり今頃瑠衣は関係者に頭を下げているのだろうと心が痛んだ。



事態はかなり深刻で、社の信用問題に関わってきた。
取引先は他社の類似製品に切り替える手はずをとろうとする会社もあり、不備を起こした製品だけではなくほかの製品の取引にも大きく影響をしようとしていることが少しずつ明らかになった。


瑠衣は数日かけて関係者への謝罪をした。ほかにも、直接関係していない取引先へも事態の説明やほかの製品に関しての安全性を伝えに行かなくてはならない。

朝早くから夜遅くまで社長室を不在にし、社に戻るのはすでに日付が変わろうとしている時間だった。社に戻ってからは上がってきた報告書に目を通し、問題点を見つけると書類にまとめて改善点まで入れたものを各部の責任者に杏奈を通して渡すよう、準備をした。

< 248 / 330 >

この作品をシェア

pagetop