元カレ社長は元カノ秘書を一途に溺愛する
社長室で杏奈は瑠衣を待っていた。
瑠衣がどんなに帰っていいといっても、杏奈は聞かない。

製品の不備が起きてからは杏奈は何が何でも瑠衣と一緒に瑠衣の部屋に帰宅し、簡単に食べられる食事を用意したり、せめてもと洗濯や掃除をするようにしていた。

「ただいま」
瑠衣もあきらめて、社長室に戻ると杏奈にそう言って微笑みかける。
「おかえりなさい」
杏奈も微笑んで向かい入れた。

どれだけ外で瑠衣が厳しい言葉を言われているか想像しただけでも心が痛む。

せめて、会社に戻ってからは温かく笑顔で迎えてあげたいという杏奈の気遣いに瑠衣も感謝をしていた。

「新しい来月の予算と決算見込み額が出ました。」
それでも、社に戻れば今回の事態で会社が負った痛手の報告が待っている。
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