元カレ社長は元カノ秘書を一途に溺愛する

社にとってどれだけの事態かが分かる杏奈。
社を背負う瑠衣がどれだけ難しい選択を迫られているかを考えると胸が痛む。

入籍しようと言っていた記念日まで、あと一週間と3日。

それどころではなくなったとふと考えたあと、瑠衣の好物がたくさん入ったお弁当に視線を向けた。

社長として武藤製薬を背負っている瑠衣と結婚するというのはこういうことだと自分に言い聞かせながらお弁当作りを再開した。



次の日、早朝に杏奈が出社するとそこに瑠衣の姿がなかった。
机の上にはたくさんの薬学に関する書類や分厚い専門書が広げられている。

眠気を覚ますためになのか、からのブラックコーヒーの空き缶も散乱していた。