元カレ社長は元カノ秘書を一途に溺愛する
「今回の製品に関する問題は、作業をしている社員から数日前に機械の不具合が報告されていたらしいんだ。でも、納期が遅れそうだった上層部の判断でその報告はもみ消されていたらしい。」
実際に現場に足を運ぶ瑠衣。
今では杏奈以上に現場の情報を得ている。
「別に責めに行くわけじゃない。ただ、部下からの報告を素直に聞き入れることとか、納期が遅れそうだからと後回しにしていいことと悪いことの区別は、現場の社員に覚えてもらわないとならないと思うんだ。」
「はい」
「いい会社ってなんだろうな」
瑠衣なりにいろいろと葛藤していることを杏奈も感じることが多い。

でもだいたいは瑠衣は自分で葛藤していることの答えを見つけてしまう。

「それを一緒に探すのが私の使命だと思っています。あなたが見つけるまで。」
杏奈の揺るがないまなざしに瑠衣は一瞬目を丸くしてから、声をあげて笑った。

「そうだな。頼もしいよ、杏奈と仕事をするのは。」
瑠衣の言葉に杏奈も微笑みながら一緒に前に進んでいった。
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