元カレ社長は元カノ秘書を一途に溺愛する
こんな他愛のない会話でも満たされる。

「眠くなっちゃった」
甘える杏奈の言葉に、瑠衣は手を止めてくるりと杏奈の方を見た。
「疲れたか?完成するまでソファで寝てろ」
「やだ」
「なんで。すぐできるって。それか先に風呂がよかったか?」
「うんん。」
「なんだよ。休めるときに休んだほうがいいぞ。」
心配そうに杏奈の顔を覗き込む瑠衣。
杏奈は少しうつむいたまま言う。
「瑠衣とくっついてると眠くなるの。離れたら意味ない。」
もごもごと口ごもりながら言う杏奈は耳まで赤い。

「・・・」
一瞬黙った瑠衣の顔を見上げると、杏奈よりも瑠衣の方が真っ赤になっていた。

「反則だぞ、それ」
瑠衣はそう言って杏奈の体を抱き上げる。
< 291 / 330 >

この作品をシェア

pagetop