元カレ社長は元カノ秘書を一途に溺愛する
二人の結婚式はかなり盛大なものになった。
招待客が多いほど準備も大変だったが、瑠衣の積極的なサポートもあり、杏奈の満足のいく式になった。瑠衣と杏奈の父親も出席して、たくさんの招待客に二人の今後をお願いしますと頭を下げて回る姿に、二人は改めて父に感謝した。
もちろんお互いの母の遺影も結婚式の会場に用意し、参加してもらった。

本当は生きて参加したかったであろう母たち。
でも一緒に空から見守ってくれていると信じて、二人は天気予報を覆す晴天を見上げた。

緊張している杏奈が隣を見ると、瑠衣が微笑み頷いてくれる。
頼もしい瑠衣の最後の新郎挨拶にも参加者が、瑠衣ならば大丈夫と安心するような堂々としたものだった。

新婚旅行は瑠衣の留学していた大学院へ行くことに決めていた二人。
瑠衣がどんな場所でどんな生活をしていたか、杏奈は実際に目で見ることができて、一緒に行けなかった5年前からの時間を埋められたような気がした。

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