元カレ社長は元カノ秘書を一途に溺愛する
「やばい。手が震える。」
そう言いながら、杏奈がいくら自分でやると言っても全く聞かずに杏奈の身支度をすべてしていく。

「瑠衣も髪乾かして。」
そう言って杏奈がバスタオルを手にして瑠衣の頭を拭こうと背伸びしようとするだけで「背伸びするな。かかとちゃんとつけ。」と慌てて杏奈の手からタオルを奪う瑠衣。

杏奈の身支度が終わると、さっと自分の頭を拭いて、瑠衣は再び片手は杏奈に、もう片手は杏奈の背中に沿えてリビングへと促す。

リビングのソファの前に着くと杏奈の肩をギュッと抱きながらゆっくりとソファに座るようにエスコートまでする。
「ちょっと待ってろ」
杏奈が座ると、ばたばたと瑠衣は寝室へ向かい、ベッドから毛布を持ってくると、杏奈の体に慎重に毛布を掛けた。
「ありがと・・・」
全く寒くない杏奈も真剣な瑠衣に、感謝を言うしかできない。
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