元カレ社長は元カノ秘書を一途に溺愛する
瑠衣が部屋に帰ると杏奈がソファで眠っていた。
出かける前にかけていた毛布がソファから落ちてしまっている。

起こさないようにソファに慎重に近づく瑠衣。
ソファの隣にしゃがみ寝ている杏奈を見つめる。

付き合い始めたころも、会えなかった5年間も、再会してからの時間も、結婚してからも、ずっとずっと愛する気持ちは膨らむばかりだ。
そして今、もしかしたら杏奈のお腹に二人を繋ぐ命が宿っているかもしれない。

鼻の奥がつんとして少し泣きそうなのは、外が寒かったからじゃない。

幸せすぎて泣きそうになるなんて、杏奈と出会わなければ知らずに人生を過ごしていたかもしれないと思うと、出会えたことに感謝せずにいられない。

大きなソファに小さく体を丸めて寝ている杏奈に、落ちていた毛布をかけなおす瑠衣。そしてそっと瞳にかかっている髪をかき上げる。

「・・ん・・・」
ちいさく身じろぎする杏奈に微笑みながら「愛してる」とささやいた。
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