元カレ社長は元カノ秘書を一途に溺愛する
点滴につながれた手をじっと見る杏奈。
その横には心配そうに杏奈を見つめる瑠衣が椅子に座り杏奈の手を握っている。

「よかったよ。無事で。」
「・・・うん」

病院についた杏奈はいろいろな治療と検査を受けて、切迫早産と診断された。
子宮口がすでに少し開いており、お腹の収縮もあり、早産の危険性がかなり高かった。
幸い病院に来たのが早く、処置も早かったため今は状態が落ち着いている。

「仕事、ごめんね」
「ばか。仕事のことは考えなくていいんだよ。」
急に仕事をキャンセルすることになった瑠衣。
処置が終わったのは正午近くだった。
杏奈の頭には瑠衣の仕事のスケジュールが完璧に入っている。

一日仕事を休むことがどれだけ今後の仕事に影響するか簡単に想像できるほどかなり影響が大きいことだった。まして、最近の武藤製薬と瑠衣の忙しさは比例していて一日休んだだけで大幅に仕事が遅れていく。取り戻すためにはその何倍もの時間を要した。
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