元カレ社長は元カノ秘書を一途に溺愛する
電話で話をすることも久しぶりすぎて、杏奈は瑠衣の声に心が落ち着いているのを感じる。
『こうしてこれからも、いっぱい試練が待ってるんだろうな。それで、その度に二人でこうして乗り越えていくんだろうな。』
「・・・うん」
『俺たちなら大丈夫。』
「うん」
『だから俺たちの間に来てくれたんだよ。その子も。』
「・・・そうだね」

体もつらい。仕事も気になり心が休まらない。
そんな日々が続いていた杏奈の心がすっと落ち着くような言葉だった。

「早く会いたい」
『俺も会いたい』
「・・・」
『明日、何食べたい?』
「・・・いつもの野菜たっぷりなんとかスープ」
『ネーミング忘れんなよ』
そんな会話をしながら二人で穏やかに笑いあう夜。
夫婦になり初めての試練。でもこの人となら乗り越えられると実感できた夜。
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