元カレ社長は元カノ秘書を一途に溺愛する

がっちりと杏奈の腰を抱いて、抱き留めたまま瑠衣は杏奈の顔を見る。
杏奈も「ごめんなさい！」と言いながら瑠衣の方を見て、二人は目と目があった。

「久しぶりだな」
「・・・お久しぶりです・・・」
気まずい杏奈が目をそらして瑠衣の腕の中から出ようとすると、瑠衣がグイっと杏奈の体勢を直してくれた。

その力強さにどきどきしてしまう。

大学を卒業してすぐに別れた杏奈と瑠衣。
2人が再会するのは5年ぶりだった。

5年の間にすっかりお互いスーツがしっくりする大人になったことを感じながら、杏奈は体勢を整えてから戸惑ったように目の前に立っている瑠衣の顔を見れないでいた。

「あの・・・えっと・・・」
「改めて、今日からよろしくな。」
なんと言葉にしたらいいかわからない杏奈に少し笑みを含めた声で瑠衣が言った。