捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 そう言った瞬間、ぴりっと小さな痛みが胸元に走った。また、痕を付けられたのだ。

「嫌いだとはひと言も言っていない」

 顔を上げた涼さんが言う。私を見つめる瞳に嘘は感じないけれど、そうだとするとますますこの人の考えていることがわからない。

(これ以上、私を困らせないでよ。おかしくさせないでよ……!)

 泣きそうになった私に気付いたのか、そっと頭を撫でられる。軽く引き寄せられたかと思うと、いつもしていたように目尻をついばまれた。

「俺は今もお前を愛している」

「――っ」

 どん、と涼さんの肩を押しのける。

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