捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 そんなふうに言われたのは初めてで、ちょっとだけ意外に思う。

 同時に、なんとなく胸がざわざわした。

「言っておくが、聞いた話を鵜呑みにして対処したことは一度もない。こちらで調査した上でどうするか決めている。余計な心配はするな」

「……すみません。失礼なことを言いました」

 相手は日本を代表する企業のトップに君臨する人だ。話す機会が増えたことで、いつの間にか勝手に気安く感じてしまっていた。

 それなのに、社長は私に向かってまた微笑する。

「別にいい。お前の正直なところは好感が持てる」

「ありがとうございます」

 どき、とした気持ちをゆっくり自分の中で落ち着かせる。

 純粋に尊敬していた人からそんなふうに言われると、嬉しい。

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