捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 無駄話は終わりだと言わんばかりにまたキスされた。優しくしてほしいと言ったからか、さっきよりも気遣わしげな甘いものに変わっている。

 唇を触れ合わせ、呼吸のために少し離す。また重ねて、どちらからともなく舌を絡ませる。 繰り返しているとくすぐったかった。笑ったはずみに、なぜか涙がほろりと目尻からこぼれる。

 その涙を拭ってくれたのは、やはり涼さんだった。

「……ん」

 甘やかすような、ついばむだけのキスが落とされる。

 いつの間にか指を絡めて握っていた。涼さんの手は大きくて温かい。この手がいつも私を安心させてくれたあの頃を思い出す。今もそれは変わらないのだと実感しながら。

(私、ずっとあなたが好きだった)

 ほかの誰にも許さなかった身体へ、涼さんのキスが刻まれていく。

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