捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 私が涼さんに捨てられたあの日のことを知っている人間がいる。しかも会社に手を回しても引かないような人間だ。もしそうなら、涼さんに情報を買い取れなどということは言えないだろう。

「式場の人間ではなかった。となると、あの日に結婚式があったことを知っているのも、式が行われなかったことを知っているのも――お前しかいない」

 誤解だと言うことも思いつかないほど頭が真っ白になる。

 たしかにあの結婚式はふたりだけのもので、式場のスタッフを除けば私たち以外に情報が洩れることはない。

 絶句していると、肩を掴まれる。

 切ないほど強い力だった。

「ありえない。……だが、どうしたらお前じゃないと信じ切れる?」

 その言葉で、ぼんやりと理解する。

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