捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 涼さんは私を信じたいと思ってくれている。でも、状況証拠がそれを許さない。彼にとってこの件の犯人は私しかいないのだ。

「また、金欲しさにやったのか」

「な、に……」

「この話を提供した人物には大金が支払われたそうだ。……それ以上の金を口止め料として俺に要求するつもりだったのだから、おかしな話ではないだろう」

「ちが……待って、どういう……」

「必要ならいくらでもくれてやるのに」

 胸が締め付けられるほど切ない声だった。

 涼さんは傷付いている。私と同じく、家庭を築けると思っていた矢先の出来事なのだから当然だろう。

 だけど私ではない。そして――気になることがひとつ。

「また……ってどういう意味なの」

 ――また、金欲しさにやったのか。

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