捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 ただいまを言うよりも早く母のことを呼んだ。こうして呼んだのも実に三年振りになる。

 彼女が出てくるまでそう時間はかからなかった。

「翠、あんた急に……」

 出てきた母が怒ったように言いかけ、目を丸くする。私の後ろに立つ涼さんに気付いたようだった。

「どういうことなの、翠」

「それはこっちの台詞。……どうして私と涼さんの結婚式のことを出版社に流したの」

 確信を持って言うと嫌な顔をされた。

「また結婚したことをあたしに言わなかったじゃない」

 崩れ落ちそうになった身体を涼さんが支えてくれた。

 こんな言葉は聞きたくなかった。たとえ嘘でも「なんのことだ」「私じゃない」「誤解に決まってる」と言ってほしかった。

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