捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 けれど、母は認めたのだ。私たちを売り――記者から大金をもらったことを。

「前のときだってそう。社長と結婚するからお金持ちになれるって言ってたのに失敗して。よりを戻したんだったらお母さんに教えるのが筋でしょ? 自分だけお金を独り占めしようったってそうはいかないわよ。ただでさえ、仕送りもなくなって大変なんだから」

「友達が教えてくれたよ。家に給料の半分以上送り続けるのはおかしいことだって」

「よそはよそ、うちはうちでしょ。あんた、あたしに育ててもらった恩はないわけ?」

 母の言うことが正しい――とどこかで思ってしまうのは、私がずっとここでそれを是として生きてきたからだろう。

 足元がふらふらする。まるで不安定な足場の上に立っているかのようだった。

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