捨てられママのはずが、愛し尽くされています～冷徹社長は極上パパ～

「まあ、こうやって来てくれたならいいわ。週刊誌にリークするより、直接もらった方が楽だし。で、いくらくれるの？　お金ならたくさんあるんでしょ？」

　同じ人間だと思えなくて目の前が真っ赤になる。

　結婚のことを知ったなら、鳴のことだって知っているはずだ。それなのにこの人は孫にあたるあの子のことをひと言も口にしない。

「お母さんに渡すお金なんて、もう一円もない。……涼さんのお金は涼さんのものであって、私のものじゃないんだから」

「あのね、夫婦になると共有財産になるのよ。お父さんだってそうだったもの」

「だからお父さんと離婚することになったんだよ」

「それはあの人が甲斐性なしだっただけでしょ」

　母の口調がイライラしたものに変わる。