捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 母が小さく悲鳴を上げて顔をしかめる。掴まれた手に力を込められているのだろう。

「涼さん、だめ」

「庇う必要があるのか? 殴られそうになったんだぞ」

 激しい怒りが伝わってきて泣きそうになる。そこまで私のために怒ってくれるからこそ、止めたかった。

「お前の母親だと思ったから加減してやろうと思っていたのに」

「この人のことで、これ以上あなたに迷惑をかけたくない……」

「俺にかけないで誰にかけるんだ」

 今更だ、と言い捨てて涼さんは母に視線を戻す。

 それを受けた母がはっとしたようにきんきん声で騒ぎ出した。

「は、離しなさいよ! 暴力で訴えるわよ! そうだ、これも週刊誌に流したらどうなるかしらね!」

「お願いだからもうやめてよ、お母さん……!」

「あんたは黙ってなさい!」
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