捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~

 興奮で頬を紅潮させた母が叫ぶ。

 その熱を冷ますように、涼さんが冷静に告げた。

「リークしても構わないが、その前に俺がお前を訴える」

「は……?」

 ぽかんと母が目を丸くする。そんなことをされるとは思ってもいなかった、という顔だった。

「週刊誌の連中もまとめてそうするつもりだ。してきたことは恐喝だからな」

「なっ……」

「弁護士を雇いたいなら今のうちに用意しておけ。うちの法務に勝てるとは思えないが」

「あ、あたしは翠の母親なのよ!? 身内に犯罪者がいることになったら、翠だって肩身の狭い思いを――」

「だから、今回は見逃してやる」

 言い聞かせるようなゆっくりした話し方は、さすがの母にも効いたらしい。

< 257 / 462 >

この作品をシェア

pagetop