捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
(本当は、もっと幸せな家族でいたかった)

 結婚のことをお祝いしてもらい、鳴の誕生を喜んでもらう。それだけのことをしてほしかっただけなのに叶わない。

「話はそれだけだ。……帰るぞ、翠」

 肩を抱かれて外へ連れ出される。そのやり方が少し強引だったのは、そうでもしないと私が歩き出せないことい気付いていたからかもしれない。

 外へ出ると、陽はまだ高かった。だからか、眩しい光がまぶたを刺して目の前がにじむ。

「……ごめんなさい」

 助手席に乗せられながら、涼さんに謝る。

「嫌な思いをさせて本当にごめんなさい……」

「お前はなにも悪くない」

 車を発進させる前に抱き寄せられる。

「……泣かないでくれ」

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