捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 ――だから、この結婚を認めて。

 母の喜ぶことを、母のために告げたからだろうか。胸がちりちりして痛い。

「心配しなくても、これからたくさん贅沢させてもらえるよ」

『あら、そうなの? どんな人か知らないけど、それなら早く紹介しなさいよ』

「うん、またそのうち……」

 手のひらを変えた母を前に、会わせたくないなと強く思う。同時に、思った通り反対されずほっとした。

 こんな言い方でしか母の気を引けないことが悔しくて、悲しい。彼のいいところはほかにもっとたくさんあるし、私もそういう部分を好もしく思って結婚を決めたのだ。決して財力や地位を見て選んだわけではない。

(いつか、お母さんにもわかってもらえる日が来るはず)

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