捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 私の言葉を聞いて涼さんは幻滅しただろう。それ以上に傷付いた。愛しているという私の言葉が自分ではなく、自分の持つものに向けられていたものだと思っただろうから。

「だからあのとき、私を捨てたんだね……」

「話を聞くべきだった。……逃げるべきではなかったんだ」

「ううん、話をしてもきっと変わらなかったよ。だってそんなふうに言われて信じる方が難しいでしょ」

「お前の言葉なら、きっと信じられた。……少なくとも信じようとはした」

「どうしてそこまで……」

「それでも側にいてほしかったからな」

 私はこれまで、どれほどこの人を傷付けてきたのだろうか。期待しないと、絶対に許さないと言い続けて。本当は私こそが一番の問題だったというのに。

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