捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
「再会してからもそうだった。あの日のことで憎まれていても、昔と違って嫌われていても、それでもお前が欲しかった」

「私はそんなふうに言ってもらえるような人間じゃ……」

「お前以外、いらない」

 ぎゅ、ときつく手を握り締められる。

「俺を愛していなくてもいいと思えるぐらい、好きなんだ」

 ついさっき涼さんに受け止めてもらった涙が、またほろりと零れ落ちる。

「そんなにいい女じゃない自信ならあるんだけど……」

「ほかの誰といるより安心する。それだけで充分じゃないのか」

「……あなたの女性の好みってわからないね」

 笑って、空いた手を涼さんの顔に寄せる。

「陰であなたをひどく言うような女なんだよ」

「それが必要だったからそうしたんだろう。本心でないなら構わない」

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