捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
「それがわからなかったの、あのときは」

「今は?」

「……今はわかるよ」

「俺はあのとき、高価なものだから喜んだのかと思って落ち込んだ。露骨にうれしそうな顔をしていたから」

「値段なんて気にしてなかったよ。あなたからもらった指輪だからうれしかったの」

 甘やかすように落ちてきたキスを受け止め、黒い髪に指を滑らせる。鳴と同じ、ふわふわの猫っ毛が気持ちいい。

「子供みたいなことを言うけど、笑わないでね」

 顔を見られないよう、ぎゅっと涼さんを胸に引き寄せて抱き締める。

「……ずっと、あなたのお嫁さんになるのが夢だった。だから本当にうれしくて。私の夢を叶えてくれてありがとう。……幸せだよ」

 少し早口になってしまったのは、恥ずかしかったからだ。

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