捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 これで数字を覚えているのだから悪いことではないのだろう。戦略もなにもなく、自分の持っているカードを素直に出していく鳴を見るのがおもしろいというのもあって、よほど忙しくない限りは付き合うことにしている。

翠にとってはそれがありがたいらしかった。その間に家事をできるから、というのが理由らしい。翠が参加できないなら家政婦でも雇った方がいいと思っているが、本人は自分で家のことをやりたいようだ。手料理さえ食わせてくれればそれでいいのに、わざわざ仕事を増やす理由はよくわからない。

「はい、パパの」

 ぐちゃぐちゃに混ぜられたカードを渡され、手元でまとめる。うまく切れていなかったようで、スペードのカードが集中していた。

「なるくんからね」

「ああ」

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