捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 ふにゃふにゃの顔で笑った鳴が、俺の出したカードのあとに自分のカードを出す。

 そうしてしばらく遊んでいたが、結局勝負はつかなかった。鳴が途中で飽きて放り出したからだ。これもいつものことだった。

「ママいないとつまんない」

「そうだな。俺もそう思う」

「ママとあそびたかったの」

「俺もだ」

「さびしいね」

「ああ」

 散らばったトランプを片付けないまま、鳴が甘えるようにくっついてくる。人の身体によじ登るようにしてまとわりついてくるこの仕草には既視感があった。翠も甘えたいときはそうしてくる。だから、鳴もかわいい。翠と似ているからだ。

「なるくん、さびしい」

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