捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 口を開けば母親のことばかりなのは、三年も父親の存在を知らずに育ってきたからだろうか。そう思うと鳴にも翠にも申し訳ない。だからこそこれからは大切にしてやりたかった。

 ぎゅ、とすがりついてくる鳴を抱き締めて背中を撫でてやる。翠もこんなふうに撫でてやると喜んでいたが、鳴もそれは同じだった。

「翠が帰ってくるまで、いい子で待てそうにないか」

「うん。わるいこになる」

「どう悪い子になるんだ」

「……いっぱいおやつたべちゃう」

「なにか買いに行くか?」

「おかいものする?」

「欲しいものがあるなら買ってやる」

「ママ、だめっていう。パパはすぐあま……あまやかするよって」

「甘やかするじゃなくて甘やかす、だな」

「おやついっぱいほしい……」

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