捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 捨てられた子犬のような顔をしている。甘え上手なのもやはり母親似らしい。俺はこの顔に逆らえない。

「翠の方がよっぽど俺に甘やかされている。鳴にだけ甘やかされるなというのはずるい話だな」

「ママ、パパにはあまやかする?」

「ああ」

「なんで?」

 なんで、とよくわからないタイミングで聞かれるのは初めてではない。翠いわく、鳴はなんでもかんでも知りたがる時期のようだった。

一日中質問責めにされたときにも深く考えずにすべて答えていたが、彼女はそんな俺に驚いたらしい。いくらなんでも面倒だと思わないのかとのことだったが、特になにも思わない。翠だって、かつて俺の仕事や好みを事細かに聞いてきたのを忘れているのだろうか。

「俺が甘やかしたいからじゃないのか」

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