捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
「パパはママをあまやかするしたい?」

「そうだな」

「なんで?」

「かわいいだろう」

「ママ、かわいい? なるくんは?」

「鳴もかわいいな」

「じゃあ、あまやかする?」

「してほしいなら」

「おやつかいにいこ」

 寂しい気持ちはおやつという魅力の前で無力だったらしく、ぴょんと鳴が俺の膝から飛び降りる。そして、外出を促すように手を引いてきた。

「なるくんね、ボーロすき」

「あのよくわからんやつか」

 中途半端な甘さが口に残る菓子を思い浮かべる。たしかに翠はあれをよく鳴に食わせていた。

「あと……チョコもすき。いっぱいあまいの」

「俺は苦い方が好きだな」

「えー、にがいのおいしくないよ」

「子供にはまだ早い」

「なるくん、こどもじゃないもん」

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