捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 外へ出る支度をしていると、俺の手を握っていた鳴が廊下の奥へ走っていった。翠の部屋へ行ったかと思うと、リュックサックを持って戻ってくる。

「なんだ、それは」

「おにもつ」

「なにが入っているんだ?」

「つみき」

「……必要なんだな」

「うん」

 後で重いからと持たされる予感はあったが、鳴がそうしたいなら好きにさせておくことにする。いつも外出前に翠が鳴をなにやら説得していたのはこれのことだったのかと思い至った。こんなものを持ち歩きたいと言われれば対応に困るのも無理はない。

「なにも入れなければ、そこにお菓子を入れられるぞ」

「いっぱい?」

「いっぱいがいいならそうしてやる」

「つみき、おいてくる!」

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