捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 また鳴が翠の部屋へ戻っていく。今度はぺたんと中身が空っぽになったリュックサックを背負っていた。

「おくつはくからね。パパ、じぶんではける?」

「心配しなくても自分のことは自分でやれる」

「そっかあ。なるくん、おてつだいしなきゃかとおもったの」

「気持ちだけもらっておこう」

 翠がいないとき、鳴は俺の面倒を見ようとすることがあった。普段、自分が翠に面倒を見られているから人に同じことをしたいのだろう。だから妹や弟を欲しがっているのかもしれない。

 しかし、そう言った鳴本人が靴を履くのに手間取っていた。紐ではなくマジックテープで留めるタイプの靴だが、かなり苦戦している。

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