捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
「危ないから……!」

「もう遅い」

「涼さんっ」

「これなら離れずに済むしな」

 ちょっとしたわがままであって、本気でそう思っていたわけでは――たぶんない。たしかにくっついていたかったけれど、こんなふうに持ち上げられてまでしてほしかったかと言われると怪しい。これはこれとして嬉しいと思ってしまった自分が悔しいけれど。

 こういうときは暴れない方がいいのだ、と鳴を抱っこしたときの経験からおとなしくしておく。それをいいことに涼さんはさっさと寝室へ向かい、私をベッドに下ろした。

「重かったでしょ」

「いや?」

「……嘘吐き」

 そう言いはしたものの、嘘でも重くなかったと言ってくれるのはうれしい。涼さんは私を喜ばせるのが本当に上手だ。

「ご飯、用意してこようか?」

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