捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 無造作でなんの思い入れもなさそうな仕草だからこそ、その瞬間を見られるというのがたまらない。彼がこんなふうに仕事モードからプライベートに戻るところを見られるのは、私しかいないのだから。

 目を離せずに見つめていると、ネクタイを解き終えた指が自身のシャツのボタンにかかった。ふつりとひとつめのボタンが外れると、その奥から引き締まった肌が覗く。そこに痕を付けていいのも私だけだと思うと、それだけできゅっと胸が締め付けられるように疼いた。

「見すぎだ」

 そう言われてからはっと我に返る。涼さんは笑っていた。

 急に恥ずかしくなって目を伏せようとする。でも、もう少し見ていたい。

「だって――」

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