捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
短編:義両親と初顔合わせ
私は非常に緊張していた。

 それもそのはず、ここは高級料亭。かこんと外から聞こえてくるししおどしの音に、私がびくびくさせられている。

 家族でちょっとおいしいものを食べに来た、ということならここまで緊張はしなかった。なぜこんな状態にまでなっているかというと、これから涼さんのご両親と顔を合わせるからである。

(いくらなんでも話が急すぎる……!)

 ご両親を待つ涼さんは、私の隣で平然としていた。

 彼と顔合わせの話をしたのは昨日の夜。そのうち挨拶を、と言っていたけれど、まさか昨日の今日で場を用意するとは思ってもいない。

「……涼さん、本当に予定を合わせているんですよね? 無理をさせているとか……」

「別に無理をさせても構わないだろう。俺の親だ」

< 379 / 462 >

この作品をシェア

pagetop