捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
三年振りの再会
「聞いてよ、翠!」
耳音で大きな声を出されて、さすがに顔をしかめてしまった。
「もうちょっと静かにしてよ。昨日、あんまり眠れなかったんだから」
「ごめんごめん。アラサーにはうるさかったかな!」
「芽衣子も同い年でしょ」
きゃっきゃとはしゃぐようにまた声を上げたのは、私――天津翠(あまつみどり)の親友、牧屋芽衣子(まきやめいこ)だった。
大学生時代からの付き合いで、お互い今年二十九歳になる。アラサーという響きが胸に刺さるようになってからは、こうしてよくネタにしていた。
そんな気心知れた間柄の芽衣子は、数年前に『MAY』という名の会社を立ち上げている。社員のほとんどは在宅作業という、少数精鋭の広告会社だった。私はその中で営業を担当している。