捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 と言っていたけれど、見た上で捨てるのだとしたらそれはそれでひどい話だと思う。

 今回も一応、私が着た姿はまだ見せていない。やはり教会のあの場で初めて見せる方が夢があるし、もう少し涼さんに意地悪をしたいという気持ちもあったからだ。

 そんな涼さんは今頃鳴と準備をしていることだろう。七五三もまだこれからの鳴が生まれて初めてするおしゃれだ。私もきっちり正装したふたりが並ぶのを楽しみにしている。

 そう、私は今日を――二度目の結婚式をとても楽しみに思っていた。

 それなのに、である。

(……手が震える)

 白いグローブに包まれた自分の手を見下ろし、ぎゅっと握り締める。今、私の手はきっと冷たくなっているに違いない。

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