捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 楽しみすぎて緊張している、というわけではないと自分でよくわかっていた。手が震えてしまうのも、どんどん温度をなくしていくのも、一度目のあれが思っていた以上にトラウマになっていたのだと溜息を吐く。

(もうあんなことにはならないってわかってるのに……)

 誤解は解けた。自分のことを言えずにいたあの頃とは違い、涼さんに対してなんの秘密もない。

 しいて言うとすれば、昨夜こっそり寝ているところを写真に撮ったぐらいか。鳴の寝相とそっくりだったのがおもしろかったから、つい手を止められなかったのだ。

(……怖い)

 あとはプランナーが呼びに来てくれるのを待つだけ。三年前は期待に胸をふくらませてこの時間を過ごしていたけれど、今はあのときと同じことにならなければいいとだけ願い続けている。

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