捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
「お前はそのつもりでも、全部顔に出ていた。好き嫌いもわかりやすくてありがたかったな」

「……私が緊張してパンを食べるタイミングさえわかってなかったときに、のんびり観察してたわけ」

「こんなにかわいい生き物がいたのかと思って驚いた」

 ぐ、と言葉に詰まる。この人のこういうところがずるい。私が文句を言うときに限って、なにも言えなくなるような台詞を平然と吐く。

「で、一番気に入ったのは?」

「告白されるまでのことに限定するなら、あれがおいしかったかも。クロアチア料理のお店で出たロールキャベツ」

 肝心の料理の名前は忘れてしまった。よく知るロールキャベツと違い、ザワークラウトに包まれていたことは覚えている。そして、中に米が入っていたことも。

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