捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 普通は、その言葉に気持ちが入りすぎて喉に詰まってしまう。自分というものを明け渡してしまうような、ただひとりの人にしか許されない魔法の言葉だからだろう。

「簡単に言っていい言葉じゃないんだからね」

「お前以外の誰にも言わないのに?」

「鳴には言うでしょ」

「聞かれればな」

「じゃあ、鳴のことは好き?」

「お前の次に好きだ」

「鳴が聞いたら怒りそう」

「翠が最優先なのは鳴も同じだ。なんの問題ない」

「そんなところまで似なくていいのに」

 少しだけ背後を振り返り、考え直してきちんと身体の向きを変えた。涼さんと向き合い、鳴ほど柔らかくない頬に両手を添える。

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