捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
短編:もうひとりの家族
「……変なの」
ベビーベッドを覗き込んだ鳴がぽつりと言う。
ついこの間までここに入っていたのは鳴の方だった気がするのに、今は――妹の咲月(さつき)が収まっていた。
「なにが変なの?」
話しかけると、鳴が顔を上げる。
五歳になった鳴は、ますます涼さんに似てきた。もとからおとなしかったのがさらにおとなしくなり、最近は暇さえあれば本を読み漁っている。
「ちっちゃくて、変」
「そう? 鳴もこんな感じだったよ」
「おれはもっとおっきかったでしょ」
ああ、と少し寂しい気持ちになるのは、鳴が昔のように自分を『なるくん』と呼ばなくなったからだ。友達の影響なのか、それとも涼さんの影響なのか、もう自分のことを『おれ』と呼んでいる。
ベビーベッドを覗き込んだ鳴がぽつりと言う。
ついこの間までここに入っていたのは鳴の方だった気がするのに、今は――妹の咲月(さつき)が収まっていた。
「なにが変なの?」
話しかけると、鳴が顔を上げる。
五歳になった鳴は、ますます涼さんに似てきた。もとからおとなしかったのがさらにおとなしくなり、最近は暇さえあれば本を読み漁っている。
「ちっちゃくて、変」
「そう? 鳴もこんな感じだったよ」
「おれはもっとおっきかったでしょ」
ああ、と少し寂しい気持ちになるのは、鳴が昔のように自分を『なるくん』と呼ばなくなったからだ。友達の影響なのか、それとも涼さんの影響なのか、もう自分のことを『おれ』と呼んでいる。