捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 ほかにも変わったことは数えきれないくらいあった。

 保育園での出来事を楽しそうに教えてくれていたのは夢だったのかと思うほど、今は友達と遊びに行った先でのことを教えてくれない。聞いても「特になにもなかった」としか言ってくれないのだ。

(五歳なんだもんね……)

 鳴はもう、私に抱っこさせてくれない。手は涼さんが私に触ろうとしたときだけ繋いでくる。ふたりの戦いは二年経った今も続いていた。

 そんな鳴と五歳差の咲月はつい先日産まれたばかりだった。涼さんいわく、私に似ているらしい。だからとてもかわいいのだと言ったそのときの顔を、きっと忘れることはないだろう。

 この人の感動を鳴のときにあげられなかった。

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