捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
「さっちゃんがおっきくなったら、一緒にお菓子パーティーしてもいい?」

 一瞬反応できなかった。

 鳴は翠に対してよく好意を示すが、俺に対しては特にそういった言動を見せない。しかし今のは明らかにそう受け取っていいものだ。だから、らしくなく反応に遅れてしまった。

「……翠に怒られるぞ」

 話題の本人はすぐ側で夫と息子がなにを話しているかも知らず眠っている。指を絡めていた髪を解き、代わりに鳴の頭を撫でた。

「それでもいいなら付き合ってやる」

「うん」

 以前に比べて見せなくなった笑みを、翠ではなく俺に見せてくれる。

 翠以外の人間などどうでもいいと思って生きてきたのに、やはり鳴は特別なようだった。愛おしくて、かわいがってやりたくなる。

「ママには内緒ね。約束」

「ああ」

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