捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
「お友達のお迎えがたまたまお父さんだったんです。それを見て、どうして自分にはパパのお迎えがないんだろうって思ったようで……」

 シングルマザーの私に対して事情は尋ねてこないにしても、その言葉には「そろそろ鳴くんへ説明する時期かもしれません」という思いが見え隠れしていた。

 私が知らないだけで、鳴はずっと気にしていたのかもしれない。家にいるのは母親と、その友達のめいちゃんだけ。三歳ともなれば友達同士の会話も行われるだろうから、どんどん疑問が膨れ上がっていたことだろう。

「ママ、パパいないの」

 膝を降りた鳴がほかの部屋を見てから戻ってくる。いた、と自分の中で結論付けているからか、見当たらないことを不安に思っているようだった。

 泣きそうな顔を見て、心が決まってしまう。

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