捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
 なのに私は自分の顔がひどく熱くなっていることに気付いてしまった。

(昔からそうだった。恥ずかしいことも平気な顔で言って……)

 うつむいて、涼さんの目から見えないよう隠しておく。そうでもしなければきっと赤くなっていることに気付かれただろう。

(でも、これは三年前のものであって今とは関係ない)

 自分に言い聞かせたところで気持ちは落ち着かなかったけれど、多少冷静になることができた気がする。

「……そう。独り占めできなくて残念だったね」

「お前も同じように思っていたから、誰も呼ばなかったのか?」

「……違うけど」

 なんとなく期待しているような声だと思ったけれど、顔を逸らしたまま曖昧に濁しておく。

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