捨てられママのはずが、愛し尽くされています~冷徹社長は極上パパ~
「別にそういうわけじゃないけど……」

 これは嘘だった。なにかの間違いであってほしいと祈るくらいには気が重い。

(そんなの、喜んでる芽衣子には絶対言えないけど)

 理由は、芽衣子が言う通りかつて私が『ドルチェ』で働いていたことによる。

 当時、今と同じように営業として働いていた私は、上司の横暴に日々ストレスを溜め込んでいた。そんなある日、後輩が上司によるパワハラで精神を病んでしまったことから、これ以上の我慢は無駄だと悟り、直接社長のもとへ訴えに行ったのだ。

(社長に直談判できたなんて運がよかったんだろうな。……いや、今のことを考えたらむしろ悪かったのか)

 ともかく私は社長へ直談判しに向かった。

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