【短編】ベイビー・ホワイト
わかってなかったわけじゃない。彼女にとって俺はただの年下の幼なじみで、俺が抱いているのと同じ感情を彼女は俺に向けてくれないこと。
俺と会う時は洗い古したTシャツにスウェットでも気にしないくせに、知らない誰かのために白いワンピース着ている、それが答えだってこと。
俺が大人になった分だけ彼女はもっと大人になって、俺の知らない世界を知っていて。
俺がいつも追いかけるだけで追いつくこともなければ、彼女が振り返ることもない。
もう、なんだっていい。どうだっていい。
スマホが一件のメッセージを受信したことを知らせてぴかりと光る。
『律希、合コン行こうぜ』