【短編】ベイビー・ホワイト
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「いやー、律希が合コンに来るなんて珍しいな!モテるくせにいつも断ってたのにどうしたんだよ」
「お前が誘ったんだろ」
「ダメ元だったからびっくりしてんだよ」
カラオケの一室。同い年の男女6人で、知らない女の歌うアイドルソングを聴きながら、友達と話す。
あの女なんて名前だっけ。自己紹介はしてたのに聞いてなかった。
ミニスカートから晒された細い脚よりも、綺麗に巻かれた茶色い髪よりも、今朝の白いワンピースが頭から離れない。
ムカつく。お洒落して出かける背中も、俺の言葉に全然動揺してない表情も、全部。
泣いて、傷付いて、俺しかいないって思えばいいのに。俺が欲しいって、言えばいいのに。